平屋リノベーション(One-Story Renovation)の家(2階建住宅の2階を解体して平屋に改装)
平屋リノベーションとは
最近、リノベーションという言葉をよく聞く様になりましたが、リフォームとリノベーションの違いがイマイチ曖昧で多くの方が分からないのではと思われます。 以前は、リノベーションという言葉は無く、リノベーションの内容もリフォームと言われていました。
それでは、「リフォーム(Reform)」と「リノベーション(Renovation)」の違いは何でしょうか?
建築業で「リフォーム」というと既存の間取変更をせずに、設備や内装を新しくすることを指す場合が多いです。例えば、タイルの浴室を同じ場所にユニットバスに入れ替える工事やキッチンの入れ替え工事、クロスの張替などが該当すると思います。
それに対してリノベーションは英語で「刷新」という意味通り、ライフスタイルに合わせて間取を大きく変更したり、断熱性能や耐震性能を上げる様な建物全体の性能アップをさせる様な工事を「リノベーション」という場合が多いです。実際、間取変更する場合は、柱や壁の位置をずらすことも多く大規模な工事になります。同様に耐震性や断熱性を上げる場合も壁を解体しなければいけないケースも多く大規模工事になることが多いです。そのため以前は、リノベーションを「大規模リフォーム」とも言っていました。
そういった意味では弊社が行う古民家再生は「古民家に特化したリノベーション」とも言えます。 同様に2階建てを平屋にリノベーションすることを「平屋リノベーション」ということができると思います。 既存の平屋の建物をリノベーションする場合も平屋リノベーションと言えますが、ここでは前者を「平屋リノベーション」と呼びます。
平屋への需要の高まり
近年、新築住宅では平屋の家の需要が高まっています。 以前は家族も多く部屋数が必要なことから2階建ての家が殆どでしたが、子どもが独立して夫婦2人暮らしになるとたくさんの部屋が不要になることや老後に備えて1階での生活に切り替える方も増えてきました。また、子育て世帯でも、1階のワンフロアで生活できる平屋住宅に人気が出てきています。子どもに部屋が必要になる中学から高校の6年間のために部屋を作っても大学で県外に出て、戻ってこないというケースも多く、それなら子ども部屋を小屋裏部屋に作って初めから平屋仕様にしておこうとするお施主様もいらっしゃいます。平屋の家が、現在の小家族化、1階での生活のしやすさというニーズに合っているのだと思います。
「新築平屋への建替」VS「平屋リノベーション」
富山県は全国から見ても持ち家率が高く、家の面積もとても大きいです。特に古民家や昔建てられた和風住宅などは、冠婚葬祭を家でできる様に田の字型の畳部屋が4か所ある家やそれ以上の部屋数の家も多くあります。それ以外にも天井が高い「枠の内(ワクノウチ)」という広間があったりと、兎に角大きな家が多いです。
一方で、核家族化の時代の流れで、家に住む家族数も少なくなったり、冠婚葬祭もセレモニーホールですることになったりで、家が地域社会の社交の場では無く、家族専用の生活の場に変化してきました。
そのためか、弊社には、大きな家が必要ないので、「この家を解体して平屋の小さな家に建て替えたい」とか、「既存の家の2階を解体して平屋の家にリノベーションして欲しい」というご相談がかなり多いです。
では、新築に建て替える場合と平屋にリノベーションする場合で、どちらが良いのでしょうか?
新築平屋住宅への建替のメリット
・新しい家なので、最新の耐震性能・断熱性能の家にできる
・設計の自由度が高い
・平屋リノベーションに比べ工期が短い
・土地から購入する場合は、好きな立地を選べる
・荷物の移動や仮住まいなどが不要
平屋リノベーションのメリット
・新築平屋住宅よりもコストが安い(大まかに解体費、構造体費用などが安くなります)
・建築費の自由度が高い
・住宅性能を新築並みに上げることができる
・思い入のある既存の建物を残すことができる
・プランニングの制約はあるものの、新築に近い自由度で設計ができる
新築平屋住宅の一番のメリットは最新の住宅性能が実現できる点だと思います。平屋リノベーションだと新築に住宅性能を限りなく近づけられても、既存の構造体の制約で、住宅性能で新築を超えることは難しいと思われます。一方で、平屋リノベーションの場合、解体費や構造体の費用を抑えることができるので、全て作り直しても新築で建築するより費用を抑えられます。更に新築と異なり、既存の使用できる箇所をそのまま活かすことができますので、更に建築費を抑える仕様にすることが可能です。予算に応じて、建築費を調整できる点で取り組みやすいです。
平屋リノベーションの実例
施工前の外観は富山県でよく見られる和風住宅の大きな住宅でした。家族構成の変化で、使わない部屋が増えたことやご両親の老後に備えて1階にすべての生活空間を持ってきたいいうご希望から平屋に作り直しました。
屋根の構造体の工事
平屋にする工事では、先ず内装解体をして柱と梁の骨組み状態にします。その後、2階を解体する前に、建物内で平屋の屋根になる構造体の骨組みを製作しました。骨組み完成後に屋根の下地を作ります。この段階まで製作してから2階を解体しました。そうすることによって、2回解体後すぐに瓦を葺くことができ、雨に濡れるリスクを極力減らしました。
平屋リノベーションでの屋根の構造体は既存の1階の屋根を一部利用
平屋にする場合、1階の屋根が大きくなるのですが、一部で既存の1階の屋根の構造体を利用することでコスト削減にも繋げています。ただし、全ての1階の屋根をそのまま利用できる分けではありませんので作り変えている部分もあります。
2階を残したまま平屋の様なワンフロア生活ができるリノベーション
平屋リノベーションでは新築平屋住宅に比べてコストが安いと言えますが、2階を解体して新しく1階の屋根を作り直すため、それなりの費用が掛かります。もし、もっとコストを抑えたいのならば、2階をそのまま残して1階のみで生活できる様にリノベーションする方法があります。実はこちらの方がリノベーションの施工パターンとしては多いです。2階を残して1階のみで生活できる様にした事例をご紹介します。
全て1階で生活するライフスタイルに合わせたリノベーション(富山市)
富山市のU様邸では中古住宅を購入してリノベーションを行いました。購入した中古住宅は1階が広いため、広いLDKと水回りを作って、更に和室と寝室を作るだけの広さがありました。1階部分に生活スペースを全て設けたことで平屋と同じ感覚で生活することができます。